2012年02月01日

死亡前に贈与を受けた預貯金の払戻しの受け方

 ある身寄りのない老人が,仲の良い友人Aさんに,
「私はもう先が長くない,もしものことがあったら,これで葬儀をして,墓石の一つでも立ててくれ,残った分があれば,あなたにあげるので」
と言って通帳と判こを渡した。

 その老人が亡くなったあと,Aさんは,銀行にお金をおろしに向かった。
 ところが,「相続人ではないので,お金をおろすことができません」と言われお金をおろすことができなかった。
 どうすればいいのだろうか?

 簡単な話ではなかった。
 預金の贈与を受けたとして,銀行相手に,預金額の払戻しを請求する訴訟をおこせばよいとも考えた。
 しかし,預貯金の贈与(債権譲渡)には,譲渡人がハンコを押した書面が必要だ。
 しかし,譲渡人は,この世にはいない…,相続人さえいない…。

 そこで,
・譲渡人の代わりとして裁判所に相続財産管理人を選任してもらって,
・半年以上かけて相続人が本当にいないのかを捜索してもらって,
・相続財産管理人に対してハンコを押すよう求める訴訟をして,
・その書面をもって銀行に請求して…。
 1年以上の時間と,相当の費用がかかってしまった。

 現金を渡す代わりに,預金通帳と判こを渡すといいうことは,世の中にはままある。
 しかし,後々大変なことになるかもしれないことを知っておくべきだ。
 幸いにして,Aさんは,墓をたてることができたが,預貯金が少なければ,墓がたたなくなるところだったのだ。

【事例は,個人特定防止のためデフォルメされたフィクションです】
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posted by 内田清隆 at 20:26| Comment(1) | TrackBack(0) | 取扱事例から