2010年07月01日

遺留分を奪う方法3−生前贈与

 遺留分を奪う方法として、
養子縁組 http://uchidasouzoku.sblo.jp/article/38478205.html
廃除 http://uchidasouzoku.sblo.jp/article/38645705.html
を紹介したが,手続きが一番簡単なのは生前贈与の方法である。

 要するに,生前に全財産を相続させたい相続人らに贈与してしまうのである。
 そうすれば、遺留分を奪いたい相続人,つまり1円たりとも相続させたくない相続人は、相続をしたくても、相続ができなくなる。

 そんな簡単に遺留分を奪えるの?と思うかもしれない。
 実は,この方法で遺留分を奪うことは,本来はできない。

 というのも,相続人に対する生前贈与(特別受益)は,遺留分算定の基礎となる財産に加えられてしまうからだ。
 そのため,相続人として子ABの2人がいた場合,
@Aに全財産1億円を相続させるという遺言を書いてBの遺留分を奪っても
AAに1億円を生前贈与しBの遺留分を奪っても,
不当に遺留分を侵害したとして,BはAに2500万円分の遺留分減殺請求をできることに変わりはないのだ。

 しかし,違いが二つある。

 一つは,生前贈与したかどうかは,もう一人の相続人には簡単には分からないということだ。
 相続人の一人に贈与したからといって,他の相続人にそれを伝えなければいけない義務はない。
 そうなると,土地などの分かりやすいものでなければ,実際には,その贈与の内容は,贈与を受けていない相続人は知りようがなくなるということも十分に考えられる。
 そうなれば,遺留分を侵害された者は,侵害されたことを証明することができなくなる。その結果,実際問題として,遺留分減殺請求はできなくなってしまうというわけだ。
(違法ではないが脱法的ではあるので,その点の注意がいる。)

 もう一つは,生前贈与した物は,遺留分算定にあたり相続時の時価で評価されるという点だ。
 例えば,2000万円の土地を生前贈与したところ,相続時に1億円にその土地の価格が上昇していたとしよう。その場合,遺留分算定にあたりその土地は1億円で計算されることになる。
 したがって,その場合には,多額の贈与をしたことになり,多額の遺留分減殺請求を受けることになる。

 一方で2000万円の絵画を生前贈与したとしても,相続時に100万円の価値になってしまっていれば,遺留分減殺請求を受けないということにもなりうる。

 相続時に何の値段が上がり,何の値段が下がるかは一般には予想できない。
 しかし,同族会社の株式など値段がコントロール可能なの物を用いて,生前贈与により,事実上遺留分を多く奪うことも可能になるであろう。


 また,贈与とは,少し異なるが,保険を利用する方法もある。全財産を保険に掛けてしまい,受取人を相続させたい相続人だけにしておくのだ。
 そうすれば,相続させたくない相続人は何も相続できなくなり,遺留分を奪ったのと同じ結果になる。
 保険金を受け取ることは,贈与(特別受益)には,原則ならないとされているため,この方法も有用だ。
(もっとも,最高裁の判例からすれば,金額によっては,遺留分減殺請求の対象になるので,絶対の方法ではない。)

 なお,いずれの方法であっても,贈与税や相続税も複雑に絡み合うので,注意が必要であることを忘れてはならない。
↓↓他の弁護士の見解は
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posted by 内田清隆 at 08:12| Comment(1) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐相続
この記事へのコメント
遺留分侵害についてお尋ねいたします。

法定相続人でない人Aに平成15年に包括遺贈の遺言をしました。平成17年にAは被相続人から生前贈与をうけました。法定相続人は2人おりますが、Aが受けた生前贈与は遺留分の侵害に当たりますでしょうか? その金額は全体の約60%に当たります。

お手数でもご回答宜しくお願い致します。
Posted by 佐々木 清子 at 2013年08月24日 02:21
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