2010年07月17日

借金を相続しない方法4〜要注意の法定単純承認

 原則として,相続開始後3か月以内に相続放棄をすれば,借金を相続する必要はなくなる。しかし,例外となる法定単純承認には注意が必要だ。

 民法921条第1項によると,「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」は,相続人は,単純承認したことになり,もはや,相続放棄できないことになる。

 そのため,例えば,相続放棄をする前に,被相続人の預貯金を解約したり,被相続人がのこした腕時計を誰かにあげたりした場合には,相続放棄ができなくなる可能性がある。

 相続が始まった時点には,被相続人がたくさんの借金を抱えているとは夢にも思っていなかった。そのため,深く考えずに被相続人の預貯金を解約して使ってしまった。その後,被相続人にたくさんの借金があることが分かった。そこで,急いで相続放棄をしようとしても,もう遅いというわけだ。
 使ってしまった預貯金を返還したとしてもだめである。相続財産の一部を処分してしまった場合には,取り返しはつかない。
 3か月の相続放棄できる期間内であっても,相続放棄ができなくなってしまうのだ。

 気をつけることとしては,相続が始まっても急がないということだろう。
 同居していない親族などの場合は借金があるかどうかはすぐに分からないことも多い。
 まずは,きちんと調査をして,借金がなさそうだということが分かってから,相続財産の処分を進めればいい。相続放棄できる期間は3か月。そう思うと49日が終るころまでは,あわてて相続財産を処分したりする必要もないだろう。

 貸していたお金を返してもらい預かっただけでも相続放棄できないのか,形見分けとして大して価値のない衣類を近親者に贈与しただけでも相続放棄できないのかなど裁判例で争われている。
 価値の少ないものなら「処分」にならない,社会常識の範囲内で葬式費用に使った分ならよいとする裁判例もあるが,どんなに少額でも,相続放棄できなくなる可能性がある。

 批判も強いが,親の残した恐らく大した価値もない衣類を形見分けした場合には,相続放棄できなくなるとした大審院の判例もある。
 そして,相続放棄ができないことによる損害は,何億円になるかもしれない。
 くれぐれも注意が必要だ。
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posted by 内田清隆 at 16:54| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐相続
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