2012年04月08日

遺留分減殺請求と寄与分との関係

1 被相続人は,全財産であった現金2000万円を長男に遺贈するとの遺言を残し死亡した。相続人は,長男と次男の2人の息子であった。
この場合,次男の遺留分は500万円であるから,原則として,長男に遺留分減殺請求として,500万円の支払いを求めることができる。

2 このとき,被相続人の財産の形成が,もっぱら長男の努力による場合であれば,長男は次男の訴えに対して,寄与(民法904条の2)を主張して,500万円の支払いを拒むことができるであろうか。
結論からいえばできない。遺留分減殺請求訴訟においては,寄与を抗弁とすることはできないのである(最高裁・平成11年12月16日)。
遺留分減殺請求訴訟という民事訴訟は地方裁判所が扱う一方で,寄与分についての審判は家庭裁判所が扱う。そのため,民事訴訟では,そもそも寄与分の主張はできないというのが理由とされている。

3 逆に,上記の例で,被相続人の財産の形成が,もっぱら次男の努力による場合であれば,次男は長男に対して,遺留分500万円の支払いに加えて,寄与(民法904条の2)を主張して,さらなる支払いを求めることができるであろうか。
これもできない。
  寄与分は,総遺産から遺贈を控除した残額を超えることはできない(904条の2・3項)。本件では,総遺産2000万円から遺贈額2000万円を控除すると0円になってしまうので,寄与分の成立の余地はないのである。
そもそもとして,遺留分が寄与分によって修正されることはない。そのため,寄与分を有しない相続人に多額の遺贈があっても,寄与分を有する相続人としては,通常の遺留分減殺請求ができるだけなのである。

 遺留分減殺請求と寄与分の関係はなかなか複雑である。
 上記説明もかなり端折っている。
 「寄与分が問題になるのは遺言がないときだけ!」と考えておけば,多くの場合は問題がないであろう。

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posted by 内田清隆 at 21:53| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐相続
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