2013年12月30日

死因贈与契約の活用方法

 死因贈与契約というものがある。
 死亡した場合には一定の財産を贈与するという契約であり,遺言ととてもよく似ているためあまり活用されていないのが現状だ。

 しかし,死因贈与契約には,遺言とは異なるメリットもある。

一つは,手続が楽というものである。

 遺言は,厳格な要式行為とされる。そのため自筆証書遺言であれば,全文自筆で手書きしなければ無効になってしまうなどの複雑な決まりがあり,作成が面倒である。
 しかし,死因贈与契約であれば,印刷したものに押印するだけであり,手続は極めて楽である。
 「手が震えて字が書けない!でも,すぐに遺言を残したい!」というときに簡便な方法として用いることができる。

 また,公正証書にするにしても,遺言の場合には本人が直接公証人役場に行き,証人2名を準備しなければいけない。
 しかし,死因贈与契約であれば,より簡単に作ることもできる。体の不自由な方でも,安価で作成が可能だ。

より重要な点は,負担付死因贈与は撤回ができないという点である。
 遺言はいつでも撤回が可能であるが,負担付死因贈与の場合は,負担の全部またはこれに類する程度の履行をした場合には,原則として撤回ができなくなる(最判57.4.30)。
 介護などの負担をする代わりに,一定の資産を死後に受け取るということを約束することはよくある。
 その際に,死因贈与契約を結んでおけばより安心ができるということである。

 もちろん死因贈与には,デメリットもあるのだが,メリットも大きい。
 上手に利用していきたいものである。
posted by 内田清隆 at 16:24| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐遺言

2013年01月10日

自筆証書遺言の形式違背の訂正の効力

 自筆証書遺言の訂正については
民法968条2項  遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
と規定されており,そのやり方は厳格に決められている。

 ところが,この厳格なやり方を無視し,単に二重線を引いただけで訂正していたり,修正液で訂正してしまったりされている場合も少なくない。

 そのような場合,その遺言の効力がどうなるのか問題になるケースは少なくない。

 法律には書いていないのであるが,裁判例によれば,まとめていえば,重大な訂正では遺言自体が無効になるが,そうでなければ,訂正がなかったものとして有効となる。

 例えば,最高裁昭和56年12月18日判決は,訂正部分が、明らかな誤記の訂正の場合は遺言は有効であると判示しているし,大阪高裁昭和44年11月17日判決は 「加除変更部分が遺言中の僅少部分にとどまり付随的補足的地位を占めるに過ぎず、その部分を除外しても遺言の主要な趣旨が表現されているばかりでなく、加除変更が印権者の意思に従ってなされている」ので訂正がないものとして有効であるとしている。

 一方で,仙台地裁・昭和50年2月27日判決では,訂正された日付けが判読できなくなった場合は、日付が欠けるものとして無効としており,重要箇所の訂正については,厳格なやり方を守っていないと,遺言自体が無効になってしまう。

 遺言を訂正する際には,くれぐれも注意が必要である。

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2011年01月26日

遺言の受取人が先に死亡したらどうなる?

 Aさんに二人の子,太郎と次郎がいたとしよう。
 Aさんは「太郎に全財産を相続させる」という遺言を残して死亡した。
 ところが,Aさんが亡くなる前に,太郎さんが亡くなっていた!

 そんなとき,誰が相続することになるであろうか?(遺留分は考えない)
 一つの考え方は,太郎さんがいない以上遺言は無効になるというものである。
 もう一つの考え方は,太郎さんの子など太郎さんの相続人がAさんの全財産を相続するというものである。

 どちらが正解であろうか?
 困ったことに答えはない。

 東京高裁の平成11年5月18日の判決では,Aさんの子が相続するということになった。 
 ところが,東京地裁の平成21年11月26日の判決では,遺言は無効であるということになってしまった。(厳密には事案が違うが,いずれにせよ裁判所の見解ははっきりしない)

 遺贈の場合「太郎に○○の土地を与える」という遺言の場合,先に太郎が死んだ場合には,遺言が無効になることは法律で決まっている(民法994条)。
 ところが,「○○に相続させる」という遺言の場合は,法律に決まりがないのである。

 「○○に相続させる」という遺言が一番,一般的な遺言である。
 この場合に,もらうべき人が先に死んだ場合どうなるかが決まっていないというのは非常に困ったものであり,早く決めてもらいたいところだ。

 いずれにせよ,遺言を作成する場合には,そのようなこともあり得ることを念頭に置いておくべきだろう。
 万が一のための遺言なのであるから。

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posted by 内田清隆 at 09:50| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐遺言

2010年11月27日

遺言執行費用と遺留分との関係 

 相続人として長男と長女と二人の子がいたとする。
 その場合,3200万円の全財産を長男に相続させるという遺言を作成しても,長女は4分の1の遺留分をもっており,800万円を相続することが可能である。
 したがって長男が2400万円,長女が800万円を相続することになる。

 同じ例で遺言執行者の報酬など遺言執行にかかる費用が200万円だったとしよう。
 その場合,長女が相続するのは(3200万−200万)×4分の1=750万円なのか?それとも変わらず800万円なのか?

 どう考えるべきか悩んでいたら,法律に答えが書いてあった。
 民法1021条により,本来最優先の遺言執行費用であっても遺留分を害することはできないとなっている。したがって,長女の相続分は変わらず800万円なのである。

 実は,長女の遺留分を少しでも減らしたいという相談で上記のことが問題になった。
 遺留分を守るということは,そんなに重要なのかと素朴に疑問に思う。

 にしても,法律に書いてあることを調べないと気付かないとは,少し恥ずかしい。

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posted by 内田清隆 at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐遺言

2010年06月13日

公正証書遺言作成のメリット

 当事務所では費用は少し多くかかるが公正証書遺言の作成を勧めている。

  最大のメリットは遺言が無効であるという主張がされにくい点だ。
 遺言の有効無効が争いになり裁判となるケースは少なくない。
 そうなっては遺言を作成したメリットも半減である。
 中立公正な公証人が関与して作成される公正証書遺言が無効になることは皆無に近いし、その有効無効が争いになること事態極めて少ない。
 仮に遺言が無効にならないとして,有効無効をめぐって争いになれば,非常に長い時間が遺産分割にかかってしまう。
 公正証書遺言では,この争いがおこならいため遺産分割の手続きは非常に速やかにいくのが通常だ。

  第二のメリットは、手書きが不要という点だ。
 大したメリットに聞こえないかもしれない。
 しかし、遺言は一文字間違えればすべてが無効になる厳しいものだ。
 しかも場合によっては相当に長くなる。
 これを間違えずに手書きで書くのは簡単な話ではなく、年齢によっては不可能な場合もある。
 これが公正証書遺言の場合は氏名さえ手書きできればよいのであり、そのメリットは大きい。
 
  第三のメリットは紛失の恐れがほぼないことだ。国が責任を持って遺言書を保管してくれることになり、自筆証書遺言と異なり複数作成されるので紛失の危険性は、ほとんどない。

 公正証書遺言は自筆証書遺言と同じ効力なのに費用が高い、しかしその分のメリットはあるだろう。
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posted by 内田清隆 at 20:59| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐遺言

2010年05月28日

遺言と異なる遺産分割の可否〜遺言を無視して遺産分割をされたくないが・・・。

 遺言があったとしても,相続人全員の同意があれば,遺言を無視して,遺言と異なる遺産分割をしても通常は問題がない。
 しかし,遺言執行者がいる場合には,相続人全員の同意があっても執行者を無視して,遺言と異なる遺産分割はできないのだ。

 長男に3分の2,次男に3分の1を相続させるという遺言があったとしよう。
 その場合でも,長男と次男が話し合い,長男が3分の1,次男が3分の2を相続するということに変更することも,遺言執行者がいなければ,許されている。
 よく考えれば自然なことで,仮に,許されないとしても,長男がまず3分2を相続して,その後次男に3分の1を贈与すれば同じことになるわけであり,それを許されないとする意味はあまりない。

 ところが,遺言執行者がいる場合には事情が異なる。その場合には,相続人だけで遺言と異なる遺産分割をしても有効にはならないのである。
 遺言執行者は,相続人全員が合意していても,遺言と異なる内容の遺産分割に合意することさえできないという裁判例もある。
 また,相続人らが遺言と異なる遺産分割協議をして,それに沿う登記をした場合には,執行者は,その登記の抹消を請求できるとする裁判例もある。
 このように,遺言執行者の権限は強大で,執行者がいれば遺言者の遺志は強く保護されるのだ。

 しかし,だから遺言執行者が選任されれば,自分の遺志は必ず守られると安心することはできない。
 遺言と異なる遺産分割が許されないとしても,先ほどの例のように相続と贈与を組み合わせることで,遺言と異なる遺産分割を許したのと同じ結果を生じさせることができてしまうのだ。
 
 さらに問題がある。相続人全員が遺言と異なる遺産分割をしようとしている場合には,遺言がきちんと開封されず,遺言執行者が選任されない可能性も高い。
 この場合には,法律的には,ともかく,実際的には,遺言と異なる遺産分割がされてしまい,誰かがそれに異議をいうことも難しいだろう。

 遺言者としては,自分の遺志を尊重して欲しいというのは当然の気持ちであろう。しかし,自分の死後のことである。相続人同士が理解しあい,仲良くやっていくというのであれば,自分の遺言が忠実に守られなくても,十分に幸せであると天国で考えるべきであろう。

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posted by 内田清隆 at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐遺言

2010年05月17日

遺言書作成は,弁護士に依頼すべき?

 遺言書は,場合によっては,一文字でも間違ってしまうと無効になってしまう厳格なものである。そのため,その作成には慎重になるべきであり,専門家である弁護士に作成を依頼すれば非常に安心である。
 とはいえ,弁護士に作成を依頼するには費用がかかる。そこで,どういった場合,弁護士に作成を依頼すべきかが問題だ。
 
 作成を依頼すべき一つのケースは,ある程度以上の財産があり,それを複数の相続人に相続させる場合である。ある程度以上の財産がある場合には,費用をかけてでもきちんとした遺言を作成しておいたほうが良いし,一人にすべてを相続させるという遺言以外は,書き方を間違える可能性が高いからだ。
 問題は,ある程度以上の財産とは何円以上であるかであるが,私の感覚では,100万円を越える財産があれば弁護士に依頼する意味はあるし,1000万円を越える財産があれば,弁護士に依頼したほうが良いと思う。

 もう一つ弁護士に作成を依頼したほうが良いケースは,複雑な遺言を作成する場合である。相続人が多数いたり,問題となる財産が多数あったり,遺言に複雑な条件をつけたりしたい場合には,自分一人で遺言書を作成するのは困難である。そんな場合には,思い悩む前に弁護士に相談した方が早いだろう。

 いずれにせよ,弁護士に遺言書の作成を依頼するとなれば,相当の費用がかかる。しかし,相談するだけであれば,費用はごく僅かである。遺言書作成をお考えの方は,最低でも弁護士に相談することをお薦めする。一文字でも間違っただけで無効になった遺言書を何枚も見たことがある。そうなる前に,相談だけでもしておけば安心だ。
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posted by 内田清隆 at 07:25| Comment(0) | TrackBack(1) | よくあるご質問‐遺言

2010年05月16日

遺言書はすぐに作成できますか?

 遺言書の作成は難しくはありません。最低限,@すべて自筆で書くA修正をしないB作成した日付を入れるC署名をするという点さえ守っておけば,一応は有効となります。

 例えば,「私の財産はすべて〇〇に相続させる。平成22年1月1日 〇〇 〇〇印」とだけ,自筆で記載しても,一応は有効で,これで十分というケースもあります。

 本ブログでも遺言の書き方については,今後も説明していきますし,やさしい遺言の書き方といった本も多数出版されております。難しいものではありませんので,自分は遺言するような財産がないから遺言なんて関係ないと思わず,簡単なものでも良いので作成しておくべきです。
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posted by 内田清隆 at 11:54| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐遺言