2010年11月27日

遺言執行費用と遺留分との関係 

 相続人として長男と長女と二人の子がいたとする。
 その場合,3200万円の全財産を長男に相続させるという遺言を作成しても,長女は4分の1の遺留分をもっており,800万円を相続することが可能である。
 したがって長男が2400万円,長女が800万円を相続することになる。

 同じ例で遺言執行者の報酬など遺言執行にかかる費用が200万円だったとしよう。
 その場合,長女が相続するのは(3200万−200万)×4分の1=750万円なのか?それとも変わらず800万円なのか?

 どう考えるべきか悩んでいたら,法律に答えが書いてあった。
 民法1021条により,本来最優先の遺言執行費用であっても遺留分を害することはできないとなっている。したがって,長女の相続分は変わらず800万円なのである。

 実は,長女の遺留分を少しでも減らしたいという相談で上記のことが問題になった。
 遺留分を守るということは,そんなに重要なのかと素朴に疑問に思う。

 にしても,法律に書いてあることを調べないと気付かないとは,少し恥ずかしい。

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posted by 内田清隆 at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐遺言

2010年11月16日

相続でもめないために−その3「ウソは泥棒の始まり」

「ウソは泥棒の始まり」という格言がある。
大げさな格言だとは思うが,ウソが原因で相続がもめることは多い。

一つウソ言われれば,その人の言うことすべてが信用できなくなる。
そんなものだ。
「預貯金はないと聞いていたのに銀行に5万円の預金があることが分かった」
「葬式には200万ぐらいかかったと聞いていたのに実際には100万もかかっていないことが分かった」
そんな小さなウソ,あるいは誤った説明で,すべての信頼関係が失われる。
そんな小さなことで相続がもめて裁判所に持ち込まれる,そんなケースは少なくない。

ウソをつかないこと,正確に説明すること,それが相続でもめないためには非常に重要だ。

また,積極的にウソを述べるわけではないとしても相続にかかわる大事な事実を言わないということも同じように相続でもめる原因だ。
「そんなこと聞いていない」「いや,どうでもいいことだから言わなくてもよいかと思って」そんなボタンのかけちがいで,大変にもめる相続になることは非常に多い。

説明していないことが重要なことであろうがなかろうが隠しごとをしていると思われてしまうようなことがあれば相続はもめる。
ウソをつかずに細かなことでも丁寧に正確に説明する,それが相続でもめないための最大のポイントだ。

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posted by 内田清隆 at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐相続

2010年11月04日

相続でもめないために−その2「知らない兄弟」と「愛人の子」

 弁護士として関わる相続のほとんどは,「もめている相続」である。
 そして「もめている相続」のほとんどが,相続人間でもともと信頼関係がない場合であるということに気づいた。
 
 相続人が本妻の子と愛人の子であるような場合に相続がよくもめるのは,理解できる。
 しかし,仲が悪いとまではいかなくても,長くまったく交渉がなく,もともと信頼関係のない者が相続人にいる場合には、遺産分割でもめる場合は非常に多い。
 例えば,会ったこともない異母兄弟がいる場合などが典型だ。

 被相続人と同居をしてきた相続人としては,被相続人との交渉がなかった者に相続させたくないと思うのも自然な気持ちだ。
 一方で,生前被相続人と交渉がなく状況が分からない者は,「財産を隠されているのではないか?」「自分は不利に扱われているのではないか?」と疑いの気持ちをもつ場合が多い(実際に財産を隠されている場合も少なくない)。
 そして,お互いに信頼関係ないために,一向に話合いが進まず,相続はもめるのである。

 当たり前といっては当たり前だが,もともと信頼関係がない者らが相続人となると相続はもめる。
 そのことを頭に入れて,そのような場合,ともかく慎重に手続きを行うことが重要だ。
 「すぐにハンコを押してくれるだろう」という甘い気持ちからスタートして,大変にもめてしまったケースは多い。
 注意が必要だ。

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posted by 内田清隆 at 17:25| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐相続

2010年10月31日

相続でもめないためにはどうしたらよいか−その1

 相続でもめないためにはどうしたらよいであろうか。

 一番よい方法は、「しっかりした」遺言を作成しておくことだ。

 「いい加減な」遺言では逆効果である。その遺言が有効なのか無効なのか、その遺言はどのように解釈すべきなのかについて、長い争いをひきおこすことになってしまう。

 しかし、公正証書遺言など「しっかりした」遺言が作成されていれば、もめる可能性は非常に少なくなる。
 もちろんそのような場合であってもめることはある。
 しかし、もめるケースは少なく,もめるとしてもおおごとにならない場合がほとんどだ。

 「しっかりした」遺言があれば,その内容に文句をつけても,遺言に書かれている内容をどう変更させることもできない。
 そのため,不満や疑問があっても文句をつける前にあきらめるのが一般だからだ。

 相続でもめないために一番良い方法が「しっかりした」遺言を作成することであることは確かだ。
 しかし,残念ながら相続が開始されるまでに「しっかりした」遺言が作成されているケースは少ない。
 それでは,そのような場合どうしたら相続でもめることを避けられるだろうか?
 
 次回から説明していきたい。

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posted by 内田清隆 at 09:33| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐相続

2010年10月06日

遺産分割で賃料はどう扱えばいいの? その2


 前回
説明したように,被相続人が受け取っていた賃料は,遺産分割の対象には原則ならない。
 そのため,その賃料が誰のものになるのかは,相続人の同意がない場合には,家庭裁判所で行われる遺産分割の調停・審判ではなく,地方裁判所で行われる民事訴訟の手続きの中で最終的には決定されることになる。

 それでは,その被相続人が受け取っていた賃料は誰にものになるのだろうか? 
 先日あげた最高裁の判決における答えは,「当然に相続分に応じて,相続人に分割承継される」というものだ。
 例えば,賃料額が毎月50万円であったとすれば,相続人が2名だとすると太郎が半分の25万円,次郎が半分の25万円の賃料を受け取ることに当然になる。
 父の死亡後1年が経過し,600万円の賃料が通帳に入っていれば,太郎と次郎が300万円ずつもらうことになるというものだ。

 話合いをしなくても,テナント入居者の同意を得なくても,当然に半分ずつになってしまうのだ。
 ずっと,太郎が賃料を受け取っており,テナントビルを太郎が相続することになってもそうなのである。
 
 何かおかしい気がするし,最高裁の判決はどこまで考えて出されているのかは分からない。
 ただ,確かなことは,相続において賃料がどうなるかについては,非常に慎重にならなくてはならないということだ。
 最高裁の判例で争われた賃料額は何と2億円である。
 そこまで大きな金額にはならないとしても賃料は非常に大きな額になる可能性がある。

 遺言を作成する際や,遺産分割協議をする際には賃料をどうするかを注意深く決めることが重要だ。
 そうでないと,後々最高裁まで争われる,大変な事件になってしまうかもしれないというわけだ。

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posted by 内田清隆 at 07:15| Comment(0) | TrackBack(1) | よくあるご質問‐相続

2010年09月30日

遺産分割で賃料はどう扱えばいいの? その1

 太郎と次郎の遺産分割で問題となったのはテナントビルであった。 
 長男の太郎が実質的にテナントビルを管理しており,太郎の通帳にテナントからの賃料は振り込まれていた。
 被相続人である父が亡くなってから,遺産分割でもめて,テナントビルは太郎が相続することで話がついたのは,父の死亡後1年が経過していた。

 では,相続開始後,話がつくまでの1年間分の賃料が誰のものになるかは,どのように決められるのであろうか?

 ここに「葬儀費用が遺産に含まれるかという問題」と同じ問題がある。
 「遺産」とは被相続人が有していた財産と考えると,,被相続人死亡後に入ってくる賃料は遺産ではなくなる。
 そうするとそのお金は遺産分割の審判の対象ではなくなってしまうのである。

 最高裁は,平成17年9月8日の判決で,被相続人死亡後に発生した賃料については,遺産には含まれず,遺産分割の対象にはならないことを明らかにした。

 被相続人が死亡する直前の賃料は遺産であり,死亡後は同じ通帳に入っているお金でも突然遺産ではなくなる。
 そして,そのお金が誰のものであるかは家庭裁判所で行われる遺産分割の審判ではなく,地方裁判所で行われる民事訴訟で決められることになる。

 なんとも不合理な話である。
 もっとも,これは争いがある場合である。私が経験した例でもあったが,太郎と次郎がお互いが被相続人死亡後の賃料も「遺産」として,扱われることに合意すれば話は違う。
 その場合には,家庭裁判所の遺産分割の審判手続の中で被相続人死亡後の賃料が誰のものになるかも決められることになる。

 だったら,最初から,被相続人死亡後の賃料も遺産であるとしてしまえば話は単純なのだが法律がそうなっていないのだから仕方がないということだ。
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posted by 内田清隆 at 09:32| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐相続

2010年09月22日

相続で借金はどうなるか?

親が死んだ場合,相続で,親の借金はどうなるのか?

一郎と次郎の親が2000万円の借金をのこして死亡したとしよう。親が残した財産は自宅だけである。
一郎は親の家業を継ぎ親と同居していた。一方の次郎は,県外に住んでおり,ほとんど親との交流がなかった。

一郎が自宅を相続し,借金も責任をもって支払う,それがあるべき姿であろう。

ところが,法律は違う。
法律では,相続が始まると,借金は,法定相続分に応じて,当然に分割されてしまうのである。
 つまり,上記の例では,一郎が1000万円,次郎が1000万円の借金を当然に相続することになるのだ。一郎と次郎で話合いをして,一郎が借金を相続することに決めたとしても,お金を貸している人に対しては,それを主張できない。
 借金は,遺産分割の対象にならず,当然に分割される。そのため,相続人同士で話合いをしても,お金を貸している人に対しては,その話合いの内容は関係ないのだ。

 このような法律には批判が大きい。
 お金を貸している側から考えると家業を継いで親の家に住んでいる一郎から1000万円しか返してもらう権利がないというのは納得がいかないことだ。次郎が1000万円返してくれれば問題はない。しかし,次郎が破産をしてしまうと,一郎が同じ暮らしをしていても1000万円を回収できなくなってしまうのだ。

 一方で次郎としても,1000万円の借金を負わされてしまうというのは納得がいかないことだろう。「兄貴がおやじと一緒に事業をする中で作った借金なんだから兄貴が責任持てよ」と思うのが当然だ。
 
 法律制度に批判があるにもかかわらず,それが維持されているのは自衛策があるからだ。
 お金を貸す側としては,もし借りている人が死亡する場合も考えるのであれば,一郎を保証人にしておけばよい。
 また,次郎としては,借金を相続したくないのであれば,相続放棄をすればよい。そうすれば借金を負担する必要なくなる。

 親に借金がある場合,相続人は相続放棄しない限り,責任を逃れられないのが法律である。
 長男が全部払うといっても払えないときは自分にかかってくる。このことを忘れないことが重要だ。

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posted by 内田清隆 at 07:11| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐相続

2010年09月17日

葬儀費用は遺産に入る?誰が負担するの?

 Aさんは300万円の財産を残して死亡した。相続人は長男と次男の二人である。長男が喪主となり200万円をかけて葬式を行った。

 長男は,葬儀費用は遺産から出すべきであり,300万円から200万円を引いた100万円を50万円ずつに遺産分割するべきだと主張した。
 一方,次男は,「自分は,こんな大きな葬式をしないでよいと思っていた」と言い出し,葬儀費用は長男が負担し,300万円を150万円ずつに遺産分割するべきだと主張した。
 
 さて,どちらが正しいのであろうか?
 
 答えは

  ・・・・分からない。
 まだ,決まっていないのだ。いつかは決まるであろうが,現在のところ,法律ははっきりせず,裁判例,学説とも厳しく対立している。
 
 葬儀費用を誰が負担すべきか?
   相続人間で分割して負担すべきだという説
   喪主が負担すべきだとする説
   遺産分割によって決せられるべきとする説
など考え方はさまざまだ。

 本来,葬儀費用は,遺産の範囲に含まれ,相続人全員が負担すべきものであろう。
 しかし,法律上,遺産とは被相続「人」が有していた財産だ。
 そして,法律上は「人」であるのは死亡時までだ。
 そうすると死亡後に発生した葬儀費用が遺産に含まれると考えるのは不自然である。
 そのため問題がややこしくなっているのだ。

 葬儀費用が結構な額になることは少なくない。
 遺産分割でもめる可能性がある場合には,
 葬儀費用は必ずしも相続人間で平等に負担されるものではない
ということだけは頭に入れておくべきであろう。

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posted by 内田清隆 at 18:38| Comment(0) | TrackBack(0) | よくあるご質問‐相続

2010年09月04日

「殺す」「愛人」で検索されているとは…

 このブログがどのようなキーワードで検索されているのかを調べてみた。

 上位は、順に「遺留分」「生前贈与」「養子縁組」「相続」「遺言」とまあ想像通りの結果であった。

 しかし、「そんなキーワードで検索されているのか?」と驚くものもたくさんあった。

「多額の借金が発覚」

「親を殺した子供の相続権」

「養子で遺留分を減らす」

「お前はもう勘当だ!」

「 受取人を愛人に」  
    ・
    ・
    ・

 なんだかドラマのサブタイトルのようでもある。
 ウキウキするようなキーワードでないことは間違いない。
 
 今さらながらに、弁護士の仕事は、責任の重いものだなあと思い知らされた。

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posted by 内田清隆 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 弁護士雑感

2010年08月26日

亡くなって分かった妻の秘密

 「信じられない!」、弁護士業を続けていくとそんな事態によく遭遇する。

 A氏は、妻B子が亡くなられたため妻名義の戸籍を取り寄せることになった。
 初めて妻の戸籍を見てA氏は衝撃的な事実を知ることになる。
 73歳で亡くなったとして葬儀までした妻B子、実の年齢はなんと85歳だったのだ。
  結婚して40年以上妻はずっと一回り12歳も年齢をさばよんでいたのである。
 73歳と85歳の違いでも普通気付きそうだ。
 しかも結婚時は40過ぎの女性を30歳だと思っていたというのだ。
 ちょっと信じられない話である。

 話はここで終わらない。
  相続人として預貯金をおろすにはB子の生まれてから亡くなるまでの戸籍が必要となる。
 それを取り寄せたところさらに驚くべき事実が判明した。
 B子はA氏と結婚する前に別の男性と結婚し、3人の子を産んでいたのである。

 長年だまされ続けてきたA氏はどんな思いだったのだろうか。
 A氏は、ニコニコしながら、B子が結婚前に産んだ3人の子を苦労して見つけ平等に相続させることを決意したが、内心非常につらかっただろうと思う。

 思えばB子もつらかったのかもしれない。

  信じられない、そして悲しい事件であった。

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posted by 内田清隆 at 14:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 取扱事例から